『 タイの犬 』


みんなー!(って、今日の芸風はポンキッキかい…。)
タイの犬が寝てるところ、って見たことあるぅ? あ、正確にはタイで、タイの犬が…なんだけど。
あれってケッサクだよねー、笑えるよねー。
スヌーピーのお得意のポーズに、犬小屋の屋根の三角のところで上向いて寝る、ってのがあるけど、タイの犬は、道のど真ん中で上向いて寝る! だもんね。
腹を下にして、ベターーッと伸びてるってのもあるけど。

日本じゃ、ゼーーッタイ見れないよね。犬がそんなポーズで寝てる、っての。

あれって、やっぱり、安心してないと取れないポーズだよねー。
勿論、暑いから、所構わず伸びちゃう、ってのもあるんだろうけれど…。まずは、人間が蹴飛ばしたりしないっていう安心感がないと、ああはいかないと思うんだよな。

で、考えるんだけど、そりゃまー当たり前だわな。タイなんだもの。
ヒトみな優しいタイなんだもの。
子供はおろか、動物いじめてるのなんか、見たことないもんねー、タイじゃ。

あ、でもね!
犬をいじめるタイ人は見たことないけど、人を噛む犬ってのはいるんだよ、これが!
アハハ…実は、噛まれたのはおいらなんだけどね。
それがどーも狂犬らしくてさ。笑い事じゃないっての。
3年ほど前のことだけどさ。コ・チャーンってところ。「kho」は島、「chaang(下げて上げる)」は象だから、まぁ「象島」ってところ。
(あ、しばらくやってないねー「タイ語講座」。またやるぅ?)

カンボジアに近いトラートって町からソンテウでLeamNgobって港に行って、そこから船で30分ほど行った島でね。
俗化したコ・サムイなんかと違って、まだ「海だけー」って島だから、それはsabaai sabaaiのはず……だったんだけど…ね…。

着いたらもう夕方近くてさ。
だからまぁ、あまり奥に行かずに近場で…ってことで、Sai Kao Beachに泊まることにしたの。
クルンテープのゲストハウスで一緒だった人と同行してたんだけど、彼が、「両替しなくちゃ」って言うもんだから、EXCHANGEの文字があるちょっと大きめの所で、とにかくソンテウを降りてね。
で、聞いてみたら「小さなバンガローなら100バーツからある」ってんで、もうそろそろ日も暮れるし、目の前は海で、世界一の渋滞スモッグ都市から逃げて来た身としては、もう「いいじゃんいいじゃん!」ってなロケーションだし…。
で、そのビーチからは少し離れた(安いとまぁそんなもんです)小さなバンガローにそれぞれ落ち着き、サッとaab naamして速攻でビーチ前の食堂スペースへ。

で、まぁ、久し振りのエビとか魚とかを頂いてですね…、
「コーヒーが飲みたいですねー」
ってことになって、白人のオーナーに言ったら、なんか、日本人が嫌いらしくてね、
「裏にポットがあるから自分で淹れなよ」
って。
まぁ、格好で人を見るなら、おいら達はそーとー「↓」の人間には見えたろーけどね。
ま、好きな濃さで淹れられるからいいかって(あ、この辺に来ると「高級」コーヒーはネスカフェね)、奥に行ったんだ。
ズタンと砂地に置いてある木の台にネスの瓶があるのを確かめ、さて、お湯は?と見まわせば、なるほど地面にポットが置いてある。
で、それを取ろうとした、その時!

ガブッ!!

まぁ驚いたのなんの!
だって、あんなにいつもダラーーッとしているタイの犬がだよ。いつの間にか、おいらの背後に回っていて、いきなり ガブッ!! だもん。

で、噛みやがった犬を見れば、もう何事もなかったように、よたよたと…。
「そうだよ、その方がタイの犬らしいよ」
と思ったのも束の間!
だって、その犬!
サルグツワをしてるんだもの! 口にスッポリとね、針金を編んだようになってる猿轡を嵌められてるの!
もう一目瞭然だよね。
「この犬、狂犬です。でも私、殺生するの恐い…。だから、処分せずに生かしてます。でも、なるべくお客さんに怪我させないよう、サルグツワを嵌めてます」

真っ青になったおいらは、もう一度、ふらふらと店のほうに戻って行く犬を見た。犬は、口からよだれを流しまくって、もう今何をしたかも分からない風で…ヨタヨタしている。

サルグツワ越しなのに、なぜかおいらはしっかりと左の手首のところを噛まれてる…。3本ばかりの歯型が付いて血が滲んでる…。

おいらはとりあえずクルンテープから一緒に来た青年を呼んだ。なぜかとゆーとー、彼、英語が達者なんだよね。おいらはダメなんだけど…。
で、説明して、オーナーに言ってくれと頼んだわさ。一刻を争うって感じで、さすがのおいらも(なにがさすがなんだか…)焦ったよー。

だったら、白人も青い顔して飛んで来てさ。でもその顔って、「またやったか…」って感じにも見えたなぁ。
で、アルコールに綿花を浸して、一応慌ててヒタヒタと傷口を洗ってはくれるんだけど、なんか、そのセコサが頭に来てね。
おいらは、瓶ごと取り上げて、ダダーッって、傷口にアルコールを流したよ。
で、
「トラートの病院に行くから船を出しなさい」
って。
だったら、「船はもうない」。
「それは定期船のことだろ。チャーターしなさい」
「そんなこと出来ない」
「じゃ自分で頼むから、港まで車を出して」
「車はないんだ」
通訳がもどかしいので直接タイ語で怒鳴ったら、なんだ、タイ語分かるんじゃないかよー。
チャンと「マイミー・ロッド・ルーイ」って、タイ語で返事しやがったよ。
その内、タイ人の奥さんが出て来て、泣き叫ぶ。
「この犬は狂犬じゃないよー!」
「この犬は狂犬じゃないよー!」
そんなこと何遍も言わなくったって…。

あ、シナリオじゃないので話しをはしょって顛末だけ書けば、まぁ、この白人オーナーは徹底したカラード差別(それにしちゃ奥さんタイ人なんだけど…)主義者の上に、これ以上騒ぎ立てると何されるかわかんない…みたいな恐さがあったよ。

で、おいらは結局、飲まないよりマシかと、抗生物質いっぱい飲んで、とにかく港の方まで歩いたさ。でも、これが「何もないパラダイス」の困ったところで、しかも新月だったらしくもう真っ暗で…。
結局、夜明けを待って船を出してもらい(勿論おいらがチャーター)、LeamNgobへ。
港に診療所があって飛び込むが看護婦さん3人居るのに「先生いない」で、注射は出来ないと。でも、狂犬は珍しくないらしく「ワクチン打てば大丈夫」って言って、あとはおいらがタイ語を話すのが面白いらしく、何やかやと聞いてくる。
「そんな場合じゃないでしょ! 先生呼んで下さいよ!」
「8時半になったら来ます」

もうラチあかないので、ちょうどTUKTUKが通りかかったのを停めて、TORADの病院へ。
TORADにはバンコク・ゼネラル病院の系列病院があり、早朝でも大勢のスタッフが居て……助かった…と言う次第。
「もう少し遅かったら危なかった」
とのドクターの台詞に、あの港の看護婦はなんだー!? と、改めて戦慄した次第。

なお、「噛まれた後にもワクチン」と言うのは本当だった。
日をおいて計4回、打つんだけどね。

まぁ、本日のお題は、タイは、犬だって通りのど真ん中で腹見せて大の字で寝られるくらい安全な、いいところなんだよー。
ってことのつもりで書き出したんだけど…なんだか、脅しまくってしまったよーな。

通りのど真ん中でヘーキで寝れるくらい、人が優しいから、狂犬病になっても殺されないで済む…。
犬にとっちゃそーなんだけど、人間の方は、ねぇ…。

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