『おいらは何故タイに行くのか?』
タイに初めて行ったのは……もう、28年前のことになる。
行き来を繰り返して、延べ8年程をタイで過ごしたことになる。
「何故そんなに?」
「タイの何処が良いのですか?」
もう何10回と聞かれて、その都度、
「物価も安くて…食事も美味しくて…」
「何でもあるし…、何でも出来るし…」
「何より人の優しいのがいい」
とか言って来た訳だが、実を言うと、いつも何か、スッキリしなかったのだ。
答えに窮すると言うか、何か、この答えでいいのだろうか?
と言う逡巡があったのだ。
おいらは何故タイに行くのか?
それが、先程、分かった。
おいらは今、イサーンに居る。
って、ホントは嘘ぴょーんなんだが、
あの時(そう、つい2週間前のことだ)思ったことを、
リアルタイムで書いた方が分かって頂きやすいかと思って、ね!
で、おいらは今、イサーンにいる。
タイの東北部の農村地帯だ。
昼間、歩き疲れて、ホテルで水浴びのあと昼寝。
余程疲れてしまっていたのか、目覚めたら、夜半の1時過ぎだった。
微かな空腹感。と、他にすることもない。
おいらはホテルを出た。
こんな田舎でもタイのことだ。
この時間でも屋台があり、食堂が開いている。
ホテルを出た所で見渡して、屋台が3、4軒と大きなオープンレストラン(エアコンを付けたインドア型レストランに対して、道路との境がアイマイな食堂、開けっぴろげな館を、おいらはこう言っている)が1軒。
屋台のおかずを覗いて見たが、いまいち食指が動かない。
で、オープンレストランへ。
この時間、タイ人は、白粥でいろんなおかずを食べるが、おいらは、khaao-plaao(フツーのご飯)でpak-bun-fai-deeng(空芯菜をバッと火を噴き上げて炒める)とkhai-ciaw(深々とした油の上に浮かせるようにして焼いた卵焼き)を食べることにした。
で、人を呼ぶ。
先程おいらが入ってきた時、チラと一瞥を呉れた連中だ。
あ、ここでもちょっと説明が必要かなぁ…。
この国道沿いにあって、間口50メートル程で奥行き(厨房とかはさらに奥なので別にして)10メートル程のオープンレストランには、30人程の女の子と5、6人の男の子がいる。
ウェイトレスとかウェイターとかは、敢えて書かない。
で、かれらは、おいらが入って行っても、
「いらっしゃいませー」
なんて、言わないのさ。
チラと「おお、来たか」と、見はするが、
それ以上に干渉しない(?)って言うか。。。。。。。。。。。。
今じゃ、「メニューを」とは言わなくなったが、
もし言えば、どうなるか?
「お、見たいのか」と、
顔の前でメニューをヒラヒラさせながらやって来て、
おいらの前に、ドッカと腰を下ろす。
で、スッとメニューを差し出し、
後は頬杖をついておいらの顔を眺めてござる!
それも、もって10秒までだね。
それ以上待たせると、もう目線はTVに行くね。
たまらないですよー。
これは。
快感!
別においらはマゾじゃないと思うよ。
けど、この飾りっけの無さってゆーかー、
素朴さ、ってゆーかー。
ま、食い物に余り珍しい物の無くなったおいらは、メニューを頼む訳でもなく、
この場面、アッサリとしててなんにも面白いことはない。
「XXXとXXXとXXXを」
と言うと、
ハイと言うでもなく、黙って注文口の方へ。
でも、歩きながら、
「XXXとXXXとXXX」
って、言ってる。
これが暑いまッ昼間のことだったら、
復唱してても、注文口に着くまでに忘れてしまう。
で、注文口で振り返って、恨めしそうな目付きでおいらの顔を見てる。
って、ことになるんだけど、ね。
ま、そんなこんなで、おいらは、深夜のオープンレストランで、
いつしか、見るとも無くマンウォッチングをしている訳だ。
で、……なんて書き出すと、また止まらなくなるから、
もう箇条書きっぽくするね。
ここに居る「子達」って書いたけど、まぁ、年齢は16、7から22、3ってところ。結構なオトナだよね。
それが。。。。。。。。。。。。。。。。。
なんか、子供…って言うより幼児って言った方が分かりやすいよね。
幼児とおなじ仕草・態度なんだよなー。
TVを見上げながら鼻の頭を掻いてる。
同じところで隣の者と笑って、お互い顔を見合ってはまた笑ってる。
すぐ踊る。
それでも(って、何がそれでもだか分からんが)、無意識の内に相手を気遣っているのが、チラと表情を読む動きで分かる。
とか。。。。。。。。。。。。。。。。
大抵何処でも、この手の店には「仕切り屋」みたいのが一人は居て、
ここでは、27、8に見えるチビのおねーさんなんだけど…。
これがなんともファニーなお顔立ち。
鼻は上向いてて、まん丸い顔の真中に顔の造作を寄せたような…。
このおねーさんが、踊るわ、鼻歌するわ、前を通りかかった女の子のお尻を触るわ。。。。。。。。みたいな。
おっ!
珍しく、ダッシュしてきた子がいるぞ!
グラスを取って、氷をガチガチ言わせながら、サーバーから水を汲んで…。
と、思ったら、
なーんだ。
自分が飲みたかっただけなんだ。
なんてね。じっさい。
余り人の走る姿を見掛けないタイだが、自分の欲望のためには走るんだなー。
あ、こっちは、自分の夜食を、温め〜味付けに徹底的に拘り〜まぁ、ナントゆっくりゆっくり食べることか。
つまり、こういうことだ。
こういう人達を見ていると、何とも落ち着くのだ。
おいら達日本人って、いつも何処か気を張って生きてる。みたいなところ、あるよね。
いつも、自分の心を見透かされない様にと、気を遣っていたり、とか。
面白くても、ここでは笑っちゃいけない、みたいに、顔を引き締めてみたり、とか。
悲しくても、オレは負けないぞ、と、虚勢を張ってみたり、とか。
つまり、表情にも仕草にも態度にも、どうかすると考えるとか感じるという心の動きにまで、日本人ってのはブレーキをかけて暮らしているのではないか?
って、気付く訳さ。
タイに来て、タイの人達を見ていると、さ。
心のまま、欲望のままに動き、喋り、笑い、泣き、怒る人達。
素晴らしいと思わないか?
あ、今、警官が入って来て、
「トイレ使うよ」
だって。
で、眠そうにしている従業員男女7、8人が、おいらの近くに居る訳だけど、誰一人として、
「どうぞ」とも「まぁまぁご苦労様です。どうぞどうぞ心ゆくまでお使い下さい。タオルをお持ちしましょうか?」とも、言わないのだ。
みんな、オケラが鳴いた程にも気にしてない。ケロッとしてる。
こんなおいらのことだって、この人達はほとんど居ることさえ気にしていない様に見える。
そのくせ、箸とレンゲでおいらが食べ難そうにしていると、サッとスプーンとフォークが出て来る。
どうなってんだー! 一体?
ホーント、面白いんだから。
これが今回分かった、おいらがタイに行く理由。
あなたも今度タイに来たら、人間観察をね。
きっと、あなたも『解放』されるから。
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